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29.ボール製造の舞台裏の巻

 テニスが、現在のように空気の入ったゴム製のボールでプレーされるようになって約140年。今回はテニスボールができる工程や、プレッシャーボールとプレッシャーレスボールの違いについてレポートします。

●ゴムの弾力は加熱によって生まれる
 テニスボールの主な材料は、表面を覆う"メルトン"と呼ばれるフエルトと、ボールのコアになる"ゴム"です。 ボールのコアを作るには、天然ゴムにさまざまな薬品を混ぜ合わせ、高温で練り合わせることからはじまります。こうしてできた生ゴムをところてん方式で押し出し、切断、コア半個分の量の固まりにします。ここまではゴムといっても、弾力性はなく、ただ柔らかい素材でしかありません。この後、この固まりを加熱し"ハーフシェル"と呼ばれる半球状に成型します。この加熱によって、はじめてゴムとしての弾力が生まれます。その後、2個のハーフシェルを接着、加熱し、ボールのコアが出来上がります。
  ブリヂストン「XT8」など、一般に試合球として利用されるプレッシャーボールでは、ハーフシェルを接着する前に、コア内部に薬品を入れます。接着後、この薬品が化学反応を起こして窒素ガスを発生し、ボール内部の圧力を大気圧の約2倍にして、ボールの反発力を高めるのです。主に練習球として使用されるプレッシャーレスボールは、ゴムの性能で弾ませるので、薬品は充填しません。

●できたてのボールはあたたかい!

 ボールのコアができると、いよいよメルトンを接着します。もともとメルトンは約2メートル幅で巻かれたシート状で、最初にボールに接着する面に糊をコーティングします。その後、ひょうたんのような形に打ち抜き、型抜きしたメルトンを重ね、周囲に白い糊を塗布します。糊といってもこれもゴムで、ボールができたときに"目地"と呼ばれる部分になります。メルトンをボールのコアに貼り付けた後、もう一度加熱して目地の部分をしっかり接着させます。
  ボールのコアへメルトンを貼りつける作業は、当社では自動機械化のため、安定した品質を供給することができます。
  出来上がったばかりのボールは、接着工程で表面の毛がつぶれています。そこで、ボールは蒸気の部屋に送られて起毛させます。ですから、できたてのボールは、あたたかいのです。起毛したボールは乾燥後、全数重量、リバウンドなどの検査を受け、合格したものだけが商品のロゴをスタンプされます。

●革命的プレッシャーレスボール誕生
 ところで試合球として販売されているプレッシャーボールに比べて、低価格のプレッシャーレスボールはこれまで、もちはよくても打球感に違和感があるとして敬遠されていました。というのも、プレッシャーレスボールはゴムの力で弾ませるので、肉厚のゴムを使う必要があったからです。その結果、重量が重くなるので、プレッシャーボールよりも小さめに設計する必要があり、小さいがために空気抵抗が少なくなり、飛びすぎて、コントロールしにくかったのです。また肉厚で硬い分、スピンもかけづらく、それもコントロールしにくい原因のひとつになっていました。
  ブリヂストンスポーツでは、プレッシャーレスボールにおいても、プレーヤーの満足するものを作りたいと考え、使用者からのヒアリングを重ね、試合球に近い使用感が得られる、画期的なプレッシャーレスボールを開発しました。柔らかさと反発性をあわせ持った新しいゴムの開発によって誕生した新製品『BRIDGESTONE NP』は、試合球と同じ大きさで、ラケットへのくいつきもよく、コントロール性能は一般試合球並みとなっています。リバウンドは、公認球よりもやや低めに設定することで、ゆっくりとしたラリーを楽しむことができるようになっています。初心者や熟年プレーヤーにも使いやすい設計です。
  ブリヂストンスポーツの技術力はプレッシャーレスボールにも生かされています。



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