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52.天然芝のテニスコートの巻

テニスプレーヤーなら一度はプレーしたいと憧れる芝のコートについて、岡山県玉野市で天然芝コート8面を有す、エメラルドローンテニスクラブの種橋理事長にうかがいました。

●一年中美しいグリーンの絨毯を維持するためのオーバーシーディング技法
芝は大別すると暖地系(夏芝)と寒地系(冬芝)に分けられます。日本に多い夏芝は25°〜35℃が育成適温で、この温度では青々と葉を茂らせますが、17°〜18℃以下になると休眠期に入り、冬期は枯れて茶色くなってしまいます。一方、ウインブルドンで採用されている冬芝は16°〜24℃が適温で25℃以上になると枯れてしまいます。
季節による気温差のある日本では、常緑のコートを保つために、両方の芝の"良いとこ取り"をした、オーバーシーディング技法と呼ばれる、手間のかかる管理が行われています。
これは、9〜10月頃にベースの夏芝を短く刈り込んで、その上に冬芝の種を蒔き、冬期に休眠する夏芝の替わりに冬芝を成長させ、夏冬交代で緑を保つ技法です。こうして冬を越した翌年の5月頃には、今度は冬芝を刈り込み、休眠していた夏芝の芽に日があたるようにして生育を促します。この作業を繰り返して、一年中美しい天然芝コートを実現しています。

● 天然芝を守るコートキーパーの技術と努力
春秋の種まきや刈り込み作業の他にも、傷んだ芝の張り替えや、"ナーセリー"と呼ばれる養生芝地の管理、肥料や薬の散布、地中に酸素を送り込む作業、芝の交代準備期には、芝の間に入った枯葉の除去など、日々さまざまな手がかけられています。
夏期の夏芝は元気なのですが、それでも35℃以上になると弱ってきてしまいます。芝がダメージを被らないように、コートキーパーは地表温度をこまめにチェックして、芝を冷やすために日に何度も水まきをします。
また、最も恐いのが"ブラウンパッチ"と呼ばれる葉腐病や赤焼病、"犬の足跡"を発生させる葉枯病などの病気で、これらを被ると芝は死んでしまいます。
プレーヤーが普段履いているテニスシューズのソールには、芝が病気になる菌が付着している場合があるので、天然芝のコートでは、レンタルで用意した無菌の芝専用シューズを履いていただいたり、コートに入る前に消毒薬のついたマットに一度足を乗せていただく、などをプレーヤーにお願いして、芝を病気から守っています。

● 夏の天然芝コートはプレーする時間帯によってバウンドが変わる
オーバーシーディングのベース芝として定評のある"ティフトン"と呼ばれる品種の夏芝は、生育すると60cmもの根をおろします。夏期の"ティフトン"の草丈は、日に2〜3mmも成長するため、少なくとも2日に一度は刈り込みが必要となります。
夏のコートはゴルフのグリーンと同程度の5mmに刈り込まれ、クレーコートなみに、肩から落としたボールが膝上までバウンドするようにしていますが、この時期のコートは、芝の成長が早いので、朝と夕ではボールのバウンドが微妙に違ってきます。
多くのプレーヤーがテニスを楽しむこの季節、芝は踏みつけられたり、すり切られたりで、特に痛みが激しくなります。元気で回復が早い芝が、天然芝での快適なテニスを支えています。

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