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55.ラケットニーズの変化の巻

新素材の導入や構造の研究で、テニスラケットは年々進化しています。今回は、東京 神田のラケットハウス「T-ONE」の佐藤氏に、プレーヤーニーズの変化などをうかがいました。

●フェースサイズは縮小傾向にある
フェースサイズの大きなデカラケや、新しい素材の使用を契機に様々に変化したラケット。そのニーズに、2〜3年前を境にして変化が出てきています。
フェースサイズが110平方インチ以上で、フレーム厚が28mm以上という、楽に打ち返せるラケットグループの販売シェアに翳りが出てきて、それに代わってフェースサイズが100平方インチ前後で、フレーム厚25mm前後という、どちらかといえばこれまで中途半端とされてきた中間的なパワーレベルのモデルのシェアが拡大しています。
この現象は、良く飛ぶラケットを使って、楽に打ち返すのが一般的であったシニア層のプレースタイルに変化が出てきて、より積極的なスイングを目指す層が増えてきていることにも起因します。シニアテニスのレベルも年々アップしてきており、楽に打ち返しているだけでは勝てなくなってきているということです。
薄くてフェースの小さい、いわゆる選手向けのラケットと、厚くてフェースの大きな一般向けのラケットとの中間に位置する「100平方インチ前後の中厚ラケットグループ」の台頭は、ここ1〜2年で顕著になってきています。ラケット開発の進歩が、こうした少し小さめのラケットでも、より使いやすいモデルに変えて来ているということもあって、「選手向けラケットより楽に飛ぶ、振りやすいラケット」の需要は今後もふくらむと予想されます。
重さについても、軽量化の追求から反転して、300g前後の、ある程度重量感のあるラケットへと戻りつつあります。
変化するプレーヤーの「あったらいいな」に応えて、ラケット開発は常に新たな挑戦を続けています。

●ベストの1本を手にする、ラケット選択
今使っているラケットの重さが300gとしても、同じモデルでも重さには、わずかなバラツキがあります。また、同じ重量でも、振ったときに重く感じたり、軽く感じたりもします。
ベテランプレーヤーが、数本の同じモデルを店頭で振っているのを見かけますが、これは"スウィングウェイト"を直感的に試しているものです。重量も、バランスポイントもいわば静止時の重さです。プレーしている時の「重さ感」こそ、ラケットの一番実質的な重量。というのが"スウィングウェイト"の考え方なのです。
この"スウィングウェイト"は現在、計器で数値に表すことができます。機械にはさんだグリップを支点に、水平方向に振り子のように振って計測します。同じ重量、同じバランスポイントのラケットでも数値がまちまちで、質量配分がトップ寄りにあるものの方が、より大きな数値を表示します。
実際に試打して気に入ったラケットが見つかったら、そのラケットと同じ"スウィングウェイト"のものを店頭で指定すれば、試打したものと同じ「重さ感」を得られます。さらに、今、自分が使っているラケットの"スウィングウェイト"を計測すれば、同じものを指定購入する時に、この数値を利用できるのです。
フレームが決まれば、今度はガットのテンション。"スウィングウェイト"の数値が小さければゆるめに、大きければ硬めに、が基本です。が、個々のプレーヤーの目指すプレーはそれぞれなので、自分の筋力や肘への負担などを考え、好みの打球感やプレースタイル、ラケットの性能に合わせてガットテンションを決めていきます。
"スウィングウェイト"という要素を加えたラケット選択で、ベストの1本が手に入ります。


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